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物流weekly掲載2025年5月15日(木)ドライバー教育係の適任者は?各社に聞く選任・育成事例(清水コメント) |
採用した新卒者や未経験のドライバーの定着に教育係の存在は重要だが、 その教育係の選任・育成に事業者は頭を悩ませている。どのような人が 教育係に向いているのか、会社の制度はどう整備したらいいのか。 今回は新たな領域からドライバーとして人材を採用する2社に、教育係に 関する事例を聞いた。 ●SI制度を構築 アサヒロジスティクス アサヒロジスティクス(横塚元樹社長、さいたま市大宮区)では、 ドライバーの育成のため、自社独自のSI制度(セーフティ・アクション・インストラクター) を2019年から構築している。同制度は、運行推進グループの酢﨑利和グループ長が 「全社統一の安全レベル」を求めて整備を行った。 「それまでは一度、新人教育が終わるとその後は拠点ごとの指導となり、 各々自己流の指導となっていた」といい、未経験のドライバーを採用することも視野に 入れると社内で統一された内容の研修が必要だと感じていたという。 SIへの応募資格は、5年以上勤務と3年以上の無事故無違反のうえ、独自の試験や 面接を通過したドライバーのリーダー。現在55人が資格を有している。 各拠点に1人が選ばれ、今後はドライバーの多い拠点に増員していく。 自らSIの面接を行い、人なりを見る酢﨑氏は「SI制度には各拠点長からの推薦を 受けた人が試験や面接に挑める。ポイントとしては、相手に対しての接し方」と説明する・ 試験科目や応募できる条件から資格はあるものの、「指導を受けている側の立場になれる人 が向いている。どうしても指導している人は、自分が正しく、先生になってしまう」と指摘。 こうした社内の制度がドライバーの増加を後押ししている。 ●若手2人が担当 エー・シー・トランスポート エー・シー・トランスポート(篠田昌孝社長、埼玉県戸田市)は、今年で新卒採用を 始めて10期目となる。今年の新卒者は大卒と高卒4人で、同乗研修をするドライバーの 教育係とは別に、彼らと直接かかわりを持つのが運輸部の今井京介係長と野中美咲氏だ。 野中氏は採用から座学の研修を担当し、今井係長は1人ひとりの性格を見ながら今後の 配属を考えるという。 同社では、新卒者の研修を担うのはこの若手2人。研修カリキュラムは試行錯誤をし、 ビジネスマナーなどは外部のものを採り入れながら、毎年決めている。 野中氏は「前年のカリキュラムを踏襲しつつ、新たに取り入れる研修は上司に 確認しながら導入しているが、任せてもらえることが多い」と説明する。 また、同乗研修では、担当のドライバーは前年新卒の先輩や、古株ドライバーなど 多くの人が携わる。 今井係長は「前向きに仕事をしている人、丁寧な仕事をしている人に声をかけて 新卒の同乗研修を行ってもらう」と毎回、新卒ドライバーや既卒の社員1人ひとりと 向き合いながら相性を見ているという。 ★物流人財育成・コンサルティングを手掛けるロジクエスト(東京都台東区)の 清水一成社長は、同乗をするドライバーの教育係を育てるのに必要なこととして、 社内の教育内容の構築やコミュニケーション能力の育成をあげる。 ★清水社長は「さらに、継続的な評価とフィードバックが必要だが、中小企業では 社長自身がきちんと評価をする必要がある」とし、モチベーション維持にも言及した。 そして、実際に教育係として向いている人の特徴に、コミュニケーション力が高い 明るい人などポイントをあげ、前向きな姿勢と経験豊富なドライバーが向いている としつつ、「多少癖のあるドライバーに対しても、根気よく指導できる忍耐強く 責任感のある人も適している。自らの役割をしっかりと認識し、最後まで投げ出さずに 教える姿勢が必要」と説明する。
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