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物流新時代掲載「共配は生き残りの選択肢」異業種の共同配送、取り組み進む 製薬、化粧品、医薬品の3社が共同配送(清水コメント) |
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昨今、物流業界において「共同配送」という言葉をよく耳にするようになった。 複数の荷主が同じ配送先へ荷物を送る際、1台の車両にまとめて輸送すること だが、この取り組みは異業種においても進んでいる。 1.「ロート・ミルボン・ヘイリオンの事例」 製薬大手ロート製薬、化粧品製造大手ミルボン、医薬品製造・販売を 行うヘイリオンジャパンの3社は、8月から共同配送を実施した。 ロート製薬は、従来から積載効率向上に向けてスペースを空けないように 積み付けを行うなど工夫を凝らしてきたが、パレットの規格や製品仕様に よってどうしても積込み時には余剰空間が発生していた。そこで、 同じ課題を抱え、両社の工場が近郊であったミルボンと、2024年から 2社でスキームを検討。しかし両社の配送先が異なり、効果が限定的だった ため、ヘイリオンジャパンに働きかけ今回の取り組みが始まった。 2.【共同配送前】 ●ロート製薬→三重伊賀市から神奈川県相模原市の倉庫輸送。規格によって 平積みで輸送する必要があるため、余剰空間が発生し、積載率が課題だった。 ●ミルボン→伊賀市から埼玉県加須市の倉庫まで輸送。単独での積載効率化の限界や 過剰供給のリスクがあった。 ●ヘイリオン→相模原市から、加須市の自社物流拠点まで輸送。こちらも積載率が 課題だった。 3.【共同配送後】 伊賀市でロート製薬とミルボンの製品を積み込み、相模原市でロート製薬製品を 荷下ろしし、ヘイリオン製品を積み込み。加須市でミルボンとヘイリオン製品を 荷下ろし。この共同配送を週に1回行うことで、積載率は13.7%向上し、 輸送距離も36.8%削減される見込みだ。共同配送実現までには苦労もあった。 ロート製薬の担当者は、「3社とも、独自の物流体制と商品規格があるので、各々の 制約条件をまとめるのに苦労した。 製品の品質に影響が出ないように試行錯誤して、テスト輸送を何回も実施して 調整してきた。また、今回の取り組みに関わっている3社だけではない。 運送協力会社や中継地における物流事業者など多くの企業が関連しており、 関連各社に丁寧に説明をして、社会的意義に賛同・協力してもらった」と語る。 8月から始めた取り組みだが、今後は更に便数を増やしていく予定だ。 4.【広がる異業種共同配送】 異業種の共同配送は広がりつつある。9月に住宅用製品販売のYKKAPと 紙製品製造の大王製紙、そして、北陸コカ・コーラボトリングが富山・神奈川・ 静岡・石川を縦断する共同配送を開始。10月に伊藤園と菓子やシリアルメーカー・ 日清シスコが飲料(重量物)とシリアル(軽量物)の重軽混載の共同配送を稼働させている。 日清シスコの担当者は、「一般的に協業混載では積み下ろし箇所が増え、トラックドライバーの 長時間労働が課題となるが、積地を1か所に集約することでこの課題を解消した。 伊藤園がトレーラー、日清シスコが大型車と車両サイズの違いがあるが、年間約20台を 削減する見込み」と話す。 5.★【清水コメント】★ 共同配送の動きについて、物流コンサルタントの清水一成氏(ロジクエスト(株))は、 「特に地域密着型の中小物流事業者や荷主企業にとっては、単独での効率化が限界に 達しているケースも多く、共同配送は「生き残りの選択肢」として現実味を帯びて きている。 ただ、現場では①異業種・異荷主の混載により、誤配や破損リスクが高まる。 ②複数の納品条件を調整する必要があり、配車が従来より高度な判断力が 求められる。③責任の所在が曖昧になりやすい、といった問題も顕在化する。 これらの課題に対しては、教育・マニュアル整備・ITツールの活用など、 現場力を底上げする取り組みが不可欠。単なる仕組み導入ではなく、 『人との理解と納得』が伴ってこそ、共同配送は機能していく」と話す。
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