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物流新時代掲載 2025年10月20日(月)『軽油カルテル、8社が強制調査』 「やっぱりな」という声も(清水コメント) |
●公正取引委員会は9月10日、石油製品販売8社を独占禁止法違反容疑で強制調査した。 一斉立ち入り調査が行われ、かけられている容疑は、軽油家格のカルテルである。 ●対象となっているのは、石油元売り最大手の㈱ENEOSウイング(名古屋市)、 ㈱東日本宇佐美(東京都)など8社。販売価格を維持したり、引き上げたりする 取り決めを長期間に渡り行っていた疑いがある。 ●全日本トラック協会は11日に声明を出し「容疑が事実であれば、『物流の2024年問題』や様々な コスト増に苦しむトラック運送業界が不当な価格で軽油を購入していたことになり、 誠に遺憾である」とした。 ●今回の問題について、A社社長は「前々からやっているな、と感じていた。ウチは3社から仕入れて いるが、今月はA社が1円高い、翌月はB社が1円高い、という感じで、注文が1社に集中しないように 調整していたのだと思う。 ●実際に営業マンに、談合して価格を調整しているのではないかと聞いたこともあるが、 そんなことは一切していませんと白々しく話していた」と語った。 ●またB社社長も、「前からやっているなと考えていた。自分はそれに警告するような発信もして 着たつもりだが、その度に否定されてきた。 ●今回疑惑が出てきて、やっぱりな、という感じ。近年は政府の補助金もあり、我々運送業が触れる ことができない部分になっていたように思う」と話す。 ●一方で今回の件について違った意見を持つ社長もいる。C社社長は「当然あるな、というだけの感想。 談合はダメというのは。法律上確かにそうかもしれないが。実際に自由競争になったら業界が 維持できない」と語る。 ●「あらゆる物の価格が上がっている中で、ある程度軽油の金額が上昇するのは仕方ないこと。 例えば1つの会社が抜け駆けして値下げをすると、そこに他の企業もついてきて、 業界全体が苦しくなる。 ●そうなって、会社が潰れてしまえば、ガソリンスタンドの数も減る。そうなれば、我々はどこで 給油すれば良いのか。軽油の値段が上がるのであれば、その分運賃も上がってくれれば良いだけ の話」と話していた。 ★【清水コメント】 物流コンサルタントの清水一成氏(ロジクエスト(株))は、 「軽油は物流の命綱でありながら、価格交渉や契約条件に対する 関心が薄かったことが、今回のような不透明な慣行を許してしまった背景にあると感じる。 ●運送会社側も慣れや依存から脱却し、価格の妥当性を問い直す姿勢が必要だと 考える。 ●言われたままに支払うのではなく、価格の背景や交渉の余地を理解し、 冷静に考え行動することが大切ではないか」とコメントしている。
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